研究概要 |
本研究の対象試験地として、東京大学千葉演習林袋山沢を設定している。当該流域は、対照流域法を適用する試験地として設定され、各約1haの流域面積をもつ隣接するA, Bの2小流域より構成されている。1998年12月から1999年5月にかけてB流域が皆伐されており、このB流域を中心に、表層崩壊発生時における斜面の動態を把握するためのモニタリングシステムの構築および適用試験を行っている。平成14年度においては、(1)気象・水文モニタリグ(降雨,気温,土壌水分,地下水位)(2)カメラによる画像モニタリングの2項目についてモニタリングの適用試験を実施しているが、平成15年度においては、新たに地盤の微小震動をとらえるための傾斜計を増設した。 降雨の斜面への飽和・不飽和浸透に伴う斜面内土層の水分分布のモニタリング結果からは、斜面上部,表層ほど乾燥しやすく、一方斜面下部の深部では降雨中に地下水位面の発生が確認された。また傾斜の微小変動という形で地盤の震動をモニタリングした結果、地震による震動や強風時に樹木の揺れを介して伝わる軽微な震動が確認でき、崩壊発生時の震動も十分とらえられると考えられ、発生時刻の特定に有効であることが示された。 さらにモニタリングの観測結果より、対象斜面の危険部位について有限要素法を用いて検討した。有限要素法による検討の結果、斜面の危険部位は、斜面下部にあり、土層構造及び斜面内土壌水分分布と密接な関連にあることが確認された。
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