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2004 年度 実績報告書

森林生態系を移動する水溶性有機物の微生物分解特性

研究課題

研究課題/領域番号 14560116
研究機関東京農工大学

研究代表者

戸田 浩人  国立大学法人東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 助教授 (00237091)

研究分担者 生原 喜久雄  国立大学法人東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 教授 (00014960)
キーワードDOC / 土壌微生物 / 呼吸基質 / 有機物分解 / 有機物形態 / 枝条残置 / 窒素無機化 / リン不動化
研究概要

これまで,(1)森林のA_0層で微生物呼吸と溶存有機態炭素(DOC)量に正の相関,(2)DOC濃度がA_0層通過水から土壌表層で1/2に低下することを明かにし,(3)土壌微生物に対する易分解性DOC(BDOC)のDOC中の割合を推定する手法について考察した。
本年度は,スギ林伐採-地ごしらえを行った裸地区と枝条を残置した枝条区で,伐採後4年間に枝条下から浸出する水のDOC等の調査をとりまとめ,裸地区と枝条区における,土壌水の溶存元素の変化と表層土壌のN無機化速度を調査し,DOC供給による影響を考察した。また,落葉広葉樹林において斜面位置別に落葉分解実験を行い,新鮮落葉の可溶性成分など有機物の質が分解や元素動態に及ぼす影響を調査した。
枝条下の浸出水には4年間ともDOCが高濃度で存在し,夏期に濃度が上昇した。溶存元素では,1年目の夏期にK^+濃度が著しく高く,3・4年目の夏期にNO_<3^->とCa^<2+>濃度が上昇した。陰・陽イオンのバランスから,陰イオンの不足が多く,陰荷電したDOCの存在が示唆された。土壌水のNO_<3^->量は,枝条区で伐採前より2〜3倍に増加し,裸地区も1・2年目は伐採前より多かったが,3・4年目は急激に減少した。4年目の表層土壌のN無機化速度は,枝条区で裸地区より夏期で大きく,DOC,特にBDOCの供給が微生物の活性とN無機化資源の指標になると考えられる。新鮮落葉の可溶性有機態成分は,分解初期の減少が著しくDOCのソースとしての可能性が示唆された。落葉の分解速度は,可溶性成分,ホロセルロース,リグニンの濃度を反映せず,新鮮落葉のP濃度と斜面位置による水分条件(温度が同程度の立地)が影響した。特に,C/P比が高い落葉では著しいPの不動化がみられ,今後,森林の土壌生態系における有機物分解は,DOCやN無機化特性とともに微生物に利用可能なPの形態や動態を把握する必要があるといえる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2004

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 林地残材の収穫や全木集材が森林生態系の物質循環に与える影響2004

    • 著者名/発表者名
      戸田浩人
    • 雑誌名

      森林科学 40

      ページ: 33-38

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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