研究分担者 |
藤原 政司 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30229075)
清水 祐一 苫小牧高等専門学校, 物質工学科, 教授 (80142694)
山田 哲夫 北見工業大学, 工学部, 助教授 (40091558)
沖本 光宏 北見工業大学, 工学部, 助手 (00113704)
高橋 行雄 北見工業大学, 工学部, 助教授 (60125391)
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研究概要 |
無処理(UT)及びカルボキシメチル化(CM)したカフマツ木粉に所定量の酢酸ニッケルと酢酸カルシウムを水溶液含浸で添加し、これをステンレス容器に入れて縦型石英反応管に移し,He気流中で室温から900℃まで10℃/分で加熱した。この間に生成した液体は氷水トラップに,気体ばガスバックに捕集し,液体の性状についてはGC-MS, IR, NMRスペクトル測定を行って分析し,気体についてはGCで組成を調べた。残渣炭化物については,重量を測定した後XRD, SEM-EDX測定を行い,表面積と細孔構造を調べた。 その結果,UTへのNi添加は油分(アセトン可溶水不溶)を減少させて可燃ガス成分,特に水素の生成量を著しく増大させた。また,炭化物炭素の結晶子の厚み(Lc)は大きく増大し,表面積の変化は小さかったが,メソ細孔(2-50nm)の割合は増加した。従って,単にニッケルを添加するだけでも,メソ細孔を有する結晶炭素の製造は可能であることがわかった。一方,CMへのNi添加では,UTのそれより油分が減少し,可燃ガス成分,特にCOが増加した。これば油分のガス成分への分解が促進されるためであり,油分中の酢酸生成割合が増加することから,化学改質前処理が油の組成改善につながったことを示している。油組成NiとCaの共添加によってさらに改善され,COとCH4の生成量も増加したが,Ca量の増加は結晶炭素生成とメソ細孔の出現を抑制した。適量のCa共存ではLcの増加とメソ細孔の発達が認められことから,このCM木材のニッケル触媒炭化では機能性木炭の製造と同時高品質の油,ガスの生産が可能となることが示された。
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