研究概要 |
有害塩素化合物のリグニンへの取り込みを調べるためにコニフェリルアルコールとp-クロロアニリンをHRP/H_2O_2の下で反応させ、混合型脱水素重合物(DHP-A)を調製した。同様に、コニフェリルアルコールのみからコントロールの脱水素重合物(DHP-B)を調製した。2次元NMRや熱分解ガスクロマトグラフィーを用いて両者の性状を比較した。DHP-Aの収率はDHP-Bの約1/4と低かったが、元素分析(Cl 3.44%;N_2 1.47%)によりp-クロロアニリンが高分子内にも取り込まれたことが明らかとなった。2次元NMRは両DHPともβ-aryl ether単位、β-β単位及びβ-5単位から成ることを示したが、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)を用いる熱分解ガスクロマトグラフィーでは、DHP-Aからはβ-aryl ether単位由来の熱分解生成物[1-(3,4-dimethoxyphenyl)-1,2,3-trimethoxypropane]は殆ど見られなかった。一方、β-β単位及びβ-5単位由来の熱分解生成物[pinoresinol dimethyl ether及びtetramethoxystilbenes]には大きな変化が見られなかった。このことから、p-クロロアニリンがβ-aryl ether単位に取り込まれていることが示唆された。特に、α-位と反応していると思われた。
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