合板を木材の枠組みに釘打ちした有開口耐力壁について、仮動的水平加力実験を実施し、時刻歴地震応答解析の結果と比較した。試験体は、幅2.73m、高さ2.4mの枠組壁工法耐力壁で、204材よりなる枠組みに厚さ9.5mmの針葉樹合板をCN50で釘打ちしたもので、中央部に高さ、幅ともに約1mの開口部を有する。一方向加力試験及び正負繰り返し試験を行い、また1体ずつについて仮動的水平加力試験を行った。仮動的水平加力試験に用いた地震波は、1995 JMA Kobe NS及び1992 Landersを最大加速度が400galになるよう基準化したもので、慣性質量を7t、減衰定数を2%として実験を行った。また、面材を緊結する釘接合部の正負繰り返し試験の結果をもとに、釘接合部の荷重-変形関係をモデル化し、これをもとに有限要素法による時刻歴地震応答解析を行った。解析にあたっては、フランス力学・工学研究所で開発された動的解析プログラムEFICOBOISを用いた。本モデルを用いた時刻歴地震応答解析の結果は、仮動的水平加力試験の結果と良く一致し、本モデルが合板を釘打ちした有開口耐力壁の地震時挙動をよく記述していることが確認された。また、本実験結果と有限要素法による解析結果を、平成14年度に行った1質点モデルによる時刻歴地震応答解析の結果と比較した結果、3者はよく一致しすることがわかった。
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