研究課題/領域番号 |
14560134
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
服部 武文 京都大学, 生存圏研究所, 助手 (60212148)
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研究分担者 |
島田 幹夫 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (50027166)
太田 明 滋賀県森林センター, 専門員(研究職)
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キーワード | ectomycorrhizal fungi / 脂質 / Acyl-CoA dehydrogenase / Laccaria amethystea / グリオキシル酸回路 / イソクエン酸リアーゼ / リンゴ酸合成酵素 / カタボライト抑制 |
研究概要 |
当該研究期間において、外国の研究グループが外生菌根形成初期過程においてグルコースより以前に脂質、脂肪酸が宿主より供給されると提案した。そこで、外生菌根形成切期過程のモデル実験系として、脂質トリオレイン、トリオレインとグルコースの共存、グルコースの3炭素源系で外生菌根菌ウラムラサキを培養し、比較検討した。まず、トリオレイン炭素源系ではAcyl-CoA dehydrogenase、とグリオキシル酸回路の鍵酵素の一つであるイソクエン酸リアーゼICLが誘導された。さらに、本回路の別の鍵酵素であるリンゴ酸合成酵素(MS)比活性も、グルコース炭素源よりトリオレイン炭素源において高かった。しかし、MS比活性はグルコース炭素源の培養初期に最高値を示し、どの系でも培養期間を通じて減少した。ICL、MSで炭素源代謝における役割やその発現の機構が異なっていることを示唆している。さらに、グリコーゲン、トレハロースとグルコースの蓄積量は、トリオレイン培地において急速に減少し、その後増加しなかった。すなわち、トリオレイン炭素源で生育する場合には、脂質および菌糸体に貯蔵されているトレハロースやグリコーゲンに由来するグルコースのほとんど全てをエネルギーの生産や、細胞壁の構築に利用し、貯蔵糖が蓄積しなかったと考えられる。さらに、これら3酵素はグルコースによるカタボライト抑制を受けた。したがって、自然界では、外生菌根形成初期過程において、もし宿主植物から脂質が供給された場合、外生菌根菌はそれを炭素源として生育できる能力はあると強く示唆される。しかし、脂質代謝に関わる酵素の誘導はカタボライト抑制のため一時的なものであると考えられる。基物外菌糸における脂質の利用に関しては、さらに検討が必要と思われる。 一方、外生菌根菌、木材腐朽菌の胞子より上記酵素活性が検出できたが、キノコも不作であり十分な比較は出来なかった。
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