研究分担者 |
酒井 久治 東京海洋大学(東京水産大学), 海洋科学部, 講師 (00205709)
兼広 春之 東京海洋大学(東京水産大学), 海洋科学部, 教授 (80134857)
東海 正 東京海洋大学(東京水産大学), 海洋科学部, 教授 (30237044)
塩出 大輔 東京海洋大学(東京水産大学), 海洋科学部, 助手 (40361810)
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研究概要 |
マグロ延縄漁業による海鳥や海亀類の偶発的な捕獲がその種の絶滅や個体数の減少につながる恐れがあるとして,回避対策への取り組みが国際的に注目されている。本研究は,近年複雑になりつつあるマグロ延縄漁具の適正化を図りながら,海鳥やウミガメ類の混獲回避技術を開発するものである。昨年度では実施計画に従い,各地のマグロ延縄漁船に使われている枝縄を調査し,その構成や特長を明らかにした上で,海鳥の混獲回避が可能な枝縄の改良を行い、鳥嚇しラインの有効威嚇範囲内に釣針が十分な水深にまで速く沈降できることを明らかにした。本年度では,水中投縄機を開発するとともに,延縄漁具の敷設形状,特に中立ブイを用いたすべての釣針が同一水深に敷設できる方法を考案し,海上実験を実施した。その成果を以下に示す。 (1)一般漁船に手軽に利用できる海鳥混獲防止用の水中投縄機を試作した。本学の研究練習船神鷹丸において実操業試験を行い,航走中の水中投縄機の姿勢が良好であり,餌の付けられた釣針は常に水面より1.3m以深に放出できることを確認した。 (2)流れのある海中に設置されたマグロ延縄の敷設形状について,超小型メモリー式水深計,GPS内臓ブイ及び超音波ピンガーを用いた計測結果と有限要素法を適用した数値モデルによるシミュレーションの結果とを合わせて検討し,マグロ延縄漁具の敷設形状に及ぼす流れの影響を明らかにした。 (3)浮縄とは別の中立ブイをマグロ延縄の幹縄に直接取り付ける方法を考案し,中立ブイの取り付け位置や浮力を変えることによって,一鉢中のすべての釣針をほぼ同一目標水深に敷設できることが確認された。中立ブイを用いたこの新しい操業方法の導入により,ウミガメ類の混獲削減が実現できるだけでなく,マグロ延縄操業の簡素化も期待できる。
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