UV-coneは組織学的にAccessory corner cone (ACC)であるとされている。南極産のノトセニア科魚類に関する研究では、ボウズハゲギスとショウワギスにおいて網膜上の視神経細胞分布とACC分布との関係を調べた。視神経細胞は、両種ともに網膜の側頭部に最も密集していた。しかしボウズハゲギスにおいて、ACCは視神経細胞分布と一致して側頭部に密集していたが、ショウワギスでは赤道線上で水平にACCが広がっていた。これらの種のUV感覚は餌の発見に役立てられていると考えられた。すなわち、遊泳性であるボウズハゲギスは遊泳する動物プランクトンを捕らえるために前方向に紫外線感覚を持つ一方で、底生性のショウワギズは海底面の餌生物を幅広く見わたすために水平方向に紫外線感覚を発達させていると考えられた。 魚類のUV感覚の調査において、新たにヨツメウオを用いた。この種は水中のみでなく水上に対する視覚も可能とし、紫外線が豊富である光環境で生息しているために紫外線視覚を持つと考えられる。また観賞魚として流通されているために生体の入手が容易である。網膜の水平切片を作成したところ、UV-coneと思われるACCが存在した。これを確認するため、UV感覚の所有が報告されているメダカを比較として用し、in situ ハイブダリゼーション(ISH)法による検討を開始した。方法として、Hisatomi et al.(1994)が設計したメダカの色覚オプシン遺伝子をもとに45塩基のオリゴプローブを作成し、33Pを用いたRI ISH法を選択した。メダカを用いた対照実験においてUV-coneの発現が確認され、現在はヨツメウオを用い調査中である。 今後はUVオプシン遺伝子の単離、精製を行ない、さらには単離したUVオプシン遺伝子からRNAプローブを作成し、DIGを用いた非RI ISH法を試みる予定である。
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