研究課題/領域番号 |
14560160
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
朝日田 卓 北里大学, 水産学部, 講師 (00296427)
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研究分担者 |
山下 洋 京都大学, 大学院・農学系研究科, 助教授 (60346038)
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キーワード | ヒラメ / エビジャコ / ミトコンドリアDNA / 種判別 / 被食 / PCR / 仔稚魚 / イシガレイ |
研究概要 |
今年度は、甲殻類消化管内容物の被食種判別をDNA分析を応用して行なうための手法開発と、宮古湾および仙台湾におけるフィールド調査等を行なった。DNA分析による被食種判別法開発では、ヒラメmtDNAの調節領域周辺について塩基配列を精査し、ヒラメのmtDNAを特異的に増幅するプライマーを数種作成し、増幅試験を行なった。その中でおよそ190塩基の長さのDNA断片を増幅するプライマーセットが、特に被食種判別に有用であることを見出した。評価にあたっては、フィールドで実際に甲殻類に捕食される可能性の高いマハゼ等の魚類、アミ類、多毛類、コエビ類等のDNAを比較対象として用いた。これを受けて、このプライマーセットによるヒラメmtDNAの検出力と甲殻類による消化時間との関係を明らかにするため、エビジャコを捕食者とした飼育実験を行なった。実験は、宮古湾で採集したエビジャコを1週間絶食させた後ヒラメを与え、1.5時間後に残餌を回収した時点を0として、1時間おきにエビジャコの回収を16時間後まで行なった。回収したエビジャコは直ちに冷凍固定し、消化管内容物からのDNA抽出に供した。なお実験時の水温は、ヒラメ仔稚魚着底時期の水温を想定し20℃とした。また大量のフィールドサンプルを分析する際には、迅速かつ正確に処理する手法が不可欠となるため、ELISA法を応用した検出法の開発に着手した。開発中の手法は、PCR産物をナイロンメンブレンに転写後、DNA-DNAハイブリダイゼーションにより検出するもので、DNAの標識にはジゴキシゲニンによる化学標識が有効であり、安全性も高いことを確認した。来年度は検出力の高いプローブの開発などを行い、大量処理法の実用化を図る予定である。さらにヒラメとの比較と広範な応用をめざして、イシガレイmtDNAの調節領域のクローニングを行った。これまでに約1000塩基対の配列を決定し、専用プライマーの開発等を行なっている。フィールド調査は、被食種の消化管内滞留時間とDNAの検出力を考慮して行い、DNAサンプルの調整やヒラメやエビジャコの生息密度など、本調査に向けた知見の整理を行なっている。
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