研究課題
基盤研究(C)
これまでの研究から、自発摂餌の改良課題が2点明らかになってきた。第1点は、スイッチ起動魚が少数であるため、もっと多くの魚の食欲を満たすよう改良することである。第2点は、水槽毎に設置する自発摂餌装置を削減してコストを節約することである。そこで、本研究では自発摂餌スイッチ信号を複数で相互利用(以下「連動」と呼ぶ)し、(1)スイッチ起動魚の増加と、(2)装置削減による効果について調べた。ニジマス各10個体の水槽を2基連動させ、合計9組の連動水槽(合計18水槽)で実験した結果、連動によって9組すべての1日当たりの摂餌量が増加した。連動期間中、スイッチ起動の不安定や減少など、他方依存型の水槽もみられたが、連動による信号の相互利用により、両水槽とも安定した摂餌量が得られた。連動解除後、12水槽中9水槽が直後から、他の3水槽でも10日以内にスイッチ起動数増加と安定摂餌がみられた。連動自発摂餌の実用化の可能性を探るため、研究期間を平成16年度まで延長し、大型水槽を用いて飼育尾数を増やし、二水槽の連動によって摂餌量、成長率、残餌率にどのような影響が現われるのか検討した。また、15年度後半に飼育尾数を1水槽あたり100尾に増やす計画を立てたが、何度か病気が発生したため、1水槽50尾の結果のみで評価した。その結果、連動水槽では単独よりも有意に摂餌量が高く、それに伴って成長率も高くなる一方、残餌率に有意差が認められないことから、飼育尾数を増やしても連動によるメリットがより顕著となる結果が得られた。以上の結果から、連動自発摂餌によって、(1)両水槽のスイッチ起動総数の増加、水槽間の補完的作用による摂餌量増加と摂餌安定性が認められた。また、(2)連動水槽の信号を自動給餌器へ伝送することにより、全ての水槽に自発摂餌装置を用いなくても食欲対応型の給餌を行えることが明らかとなった。
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