研究課題/領域番号 |
14560166
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
川合 祐史 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 助教授 (60195039)
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研究分担者 |
猪上 徳雄 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 教授 (60002086)
山崎 浩司 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 助教授 (40250500)
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キーワード | Listeria monocytogenes / 水産発酵食品 / Carnobacterium piscicola / バクテリオシン / バイオプリザバティブ |
研究概要 |
水産食品におけるリステリア菌Listeria monocytogenesの効果的な制御のため、抗リステリアバクテリオシンの探索およびクテリオシン産生乳酸菌を利用したバイオプレザベーションの有効性を検討し、以下の知見を得た。 1.非加熱水産発酵食品(ニシン切り込み、イカ塩辛、サケいずし)にL.monocytogenesを接種し、その動態を調べたところ、いずれも貯蔵中に生菌数は減少傾向を示したが、切り込みでは常温で、いずしでは低温で長期間生存した。イカ塩辛では常温低温に関わらずL.monocytogenesはすばやく検出限界以下に減少した。いずしにおいては乳酸菌の存在がL.monocytogenesの動態に関わっている可能性が示唆された。 2.L.monocytogenesに対する抗菌物質を産生する乳酸菌として、魚肉すり身からCarnobacterium piscicola CS526を分離した。本菌株の培養液から抽出、精製した抗菌物質piscicocin CS526は、分子量4430でN末端にYGNGL配列を持つ新規のクラスIIaバクテリオシンであった。 3.バクテリオシンpiscicocin CS526は、L.monocytogenes細胞に吸着し、殺菌的に作用した。また、piscicocin CS526の作用は、溶菌的ではないが、細胞膜機能に影響を及ぼし、カリウムイオンの漏出、膜電位の消失、細胞内ATPの急激な減少などを引き起こした。すなわち、piscicocin CS526は、典型的なクラスIIaバクテリオシンの抗菌作用機構を有することが判明した。 4.バクテリオシン産生菌Car.picicola CS526は、冷燻サケにおいてL.monocytogenesの増殖を制御することができ、バイオプリザバティブとして有効利用できる可能性が示唆された。
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