研究課題
基盤研究(C)
マベガイ外套膜からtrehalose結合特異性を有するレクチン(PPL-1)を精製し、その一次構造を明らかにした。解明されたcDNA配列より、PPL-1は167アミノ酸残基から構成され、計算される分子量は約16.7kDaで、配列内に24のリジン残基を有する塩基性のタンパク質であった。また、分子内に繰り返し配列を有し、これらの相同性は44%であった。アミノ酸配列は主にサケ科魚類卵に存在するレクチン(RBLs)と37〜48%の相同性を有していた。もっとも結合性の高い糖はトレハロースであったが、サケ科魚類卵レクチンに共通するL-rhamnoseやD-galactoseには結合性は見られなかった。Frontal affinity chromatographyの結果、Galβ1-4Glu/GlcNac, Galβ1-3GalNac/GlcNac, Galβ1-4Galの構造と結合性を有することがわかった。マベガイ外套膜にはPPL-1と相同性を持たない別のレクチン(PPL-2)が存在することが明らかになった。性状については、次のことが明らかになった。PPL-1はRBLs同様微生物凝集活性を有し、特にgram陰性菌を強く凝集する。PPL-1は常時マベガイ外套膜に発現しているが、生殖腺における発現の有無は季節によって差が認められた。すなわち、春〜夏にかけては生殖腺に発現が確認されるが、冬季には確認されなかった。PPL-1は架橋実験の結果、その濃度に応じて単量体か、あるいは二量体で存在することがわかった。一方、PPL-1は塩濃度によっても存在形態が変化し、NaCl濃度500mM存在下ではPPL-1は二量体であるが、0〜250mM存在下では主に単量体で存在することがゲルろ過クロマトグラフィー、動的光散乱、SDS-PAGEにより明らかとなった。以上のことから、PPL-1は環境に応じて立体構造を変化させ、必要に応じて機能を発揮するものと推察される。また同じ外套膜内に新たに発見されたPPL-2が発見されたことから、PPL-1は単独で作用するのみでなく、相互作用により新しい機能を発揮している可能性も示唆された。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (4件)
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