研究課題/領域番号 |
14560174
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大鎌 邦雄 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (40292255)
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研究分担者 |
仲地 宗俊 琉球大学, 農学部, 教授 (70180312)
坂根 嘉弘 広島大学, 経済学部, 教授 (00183046)
岩本 純明 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (40117479)
坂下 明彦 北海道大学, 大学院・農業研究科, 教授 (70170595)
杉原 たまえ 東京農業大学, 国際食料情報学部, 助教授 (20277239)
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キーワード | 農業史 / 自治村落 / 集落機能 / セイフティーネット / アジア諸国 |
研究概要 |
本プロジェクト2年目の本年は、研究分担者間で研究視角の共通化を図るため、インドネシアジョクジャカルタ周辺の農村で実態調査を行った。調査に当っては、ガジャマダ大学のS.ハルトノ教授の協力を得て、また斎藤仁氏にも参加を要請した。調査の目的は、第一に98年以降の経済危機で荒廃した山林の資源回復を目的とした「ソーシャルフォレストリー」政策の実施とその基盤である農村集落との関係、第二に農業集落を基盤とした相互扶助の具体的事業である「相互金融(Arisan)」をめぐる社会関係とその機能に、焦点をあてた。第一の課題に関しては、「ソーシャルフォレストリー」は、経済危機以降急速に荒廃した山林の回復策で、20名以上の農民のグループが植林コストを負担する「分収林」であり、植林後林間に農作物を間作すること、6年目以降農民グループは協同組合を組織すること、等がこの制度の概要である。ジョクジャカルタ周辺の3農村での聞取り調査によると、いずれも植林開始間もないが、農民グループの組織範囲は各村で多様であり、集落(Dusun)ぐるみというケースはみられなかった。また間作では、商品作物が主であった。第二の無尽講(Arisan)は、調査村のいずれも古くから無尽講が行われており、その参加者は地縁、血縁、村内の各組織等多様な関係をベースにしていた。無尽講はいずれも貯蓄が主目的であり、メンバーに資金を貸出すこともあり、文字通り相互金融的性格が強いこと、日本の無尽講との相違は、農村の社会と外部社会との関連の相違にあることが確認された。 1月に研究会を開催し、インドネシアでの調査結果の検討を行うとともに、各自の研究の進捗状況を報告し、来年度の課題を整理した。
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