本研究は産業教育の視点から、農業教育の活動評価を行い、それをもとに農業教育の実践課題を整理することを目的としている。平成15年度は、前年度に引き続く研究2年目として、アメリカのヴァージニア州で開催された農場継承と教育システムに関するシンポジウムに参加し、アメリカの教育システムの情報収集にあたるとともに、農場へのフィールド調査を行った。加えて、アイオワ州立大学ビギニングファーマーセンターのジョン・ベーカー所長の来日にあわせて、宇都宮大学において大学と普及教育をテーマとした国際シンポジウムを企画し、実施した。 平成15年度は、前年度の研究で明らかとなった農業教育の諸課題に対し、それを実践に結びつけるための具体的な活動に着手するという面で大きな進展があった。すなわち、栃木県農業改良普及事業と連携し、互いに共同の取り組みを行うなかで、普及教育事業の再構築を図っていくことで共通認識が得られ、その体制づくりができあがった。この連携活動に至る過程で、前年度のドイツ、イギリスの農業教育調査、今年度のアメリカ農業教育調査で得られた情報と知見が、大きなアイデア源となった。本研究は農業教育システムの国際比較という視点から、農業教育を産業教育視点でとらえなおし、その課題を整理してきたが、研究2年目の今年度研究調査の進展により、課題を実践に移す活動ステージへと進めることが、具体的な形となって現れてきている。
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