本研究は産業教育理論をもとに欧米諸国と日本の産業教育、とりわけ農業教育に焦点を当てて、そのシステムを検討しながら、効果的な農業教育の実践課題について分析することを目的としている。平成16年は、本研究計画の最終年度であり、研究とりまとめに向けた活動を行ってきた。本研究においては。研究初年度にドイツ、イギリス、2年次にはアメリカ、3年次にイタリアと欧米諸国での農業教育実態の調査研究を行ってきた。それらを通して、欧米諸国では農業教育に関する取り組みが広い範囲で行われているとともに初等・中等教育機関をはじめ、大学等の高等教育機関においても、実践的な取り組みがなされており、その比較検討の中から日本における農業教育の実践課題が明らかとなってきた。欧米諸国に学ぶベストプラクティスとして、教育機関に付随して普及システムが効果的な役割を果たしているという、いわばシステムの総合化があげられる。この調査を通して得られた知見をもとに、栃木県農業改良普及事業に対して共同研究の企画を提案し、その合意を得ることができた。今年度は、農業教育をより実践的に家族カウンセリングという領域でとらえ、家族カウンセリング理論を整理するとともに、農業改良普及員に対してのセミナーを10回にわたって実施した。その上で、栃木県内の農家を対象とした家族カウンセリング調査を普及員と合同で実施した。この取り組みは今後、県内各地域で順次実施する計画である。本研究でとりまとめられた農業教育の実践課題は、具体的な活動として発展しつつある。
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