研究課題
わが国のコメ流通の自由化に伴う不確実性の増大が、生産者、農協、卸売業者等に与える影響について、理論と実証の両面から分析を行った。まず、コメの価格変動およびコメ取引における契約履行に関するリスクとリスクの管理方法という点から実態調査による分析を行った。生産者、農協、卸売業者の各経済主体における不確実性の認識、リスクの評価、リスクへの態度、コメ取引方法の選択、リスク削減手段などの実態を明らかにした。以上の各経済主体の行動について、リスク・マネジメントの理論を用いて、経営学的に評価と分析を行った。さらに、有効なリスク・マネジメントの手法についての考察を行った。次に、コメの価格形成の中心的役割を果たしている自主流通米価格形成センターにおける自主流通米の入札取引の実態調査を行った。入札制度の仕組み、価格形成のメカニズム、売り手・買い手の経済行動などの実態を明らかにした。以上の価格形成における経済行動、経済成果について、オークション理論を用いて経済学的に評価と分析を行った。分析結果をもとに、入札取引制度の改革に関する考察を行った。また、コメの需給構造全体の中で、自主流通米価格形成センターにおける入札取引が果たす役割を、相対取引による流通、計画外米流通との相互関係から明かにし、入札取引の価格形成、およびそこから発生するリスクがコメ流通全体に波及する仕組みについて分析した。これらの成果の一部を日本農業経営学会において報告した。
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