本年度は、昨年度に引き続き、カンボジア、ラオスにおける芳香米、黄牛、メイズの国際競争力と輸出拡大のために必要な政策について研究を行った。 芳香米については、前年度までに実施した生産費調査に基づき、生産費とDomestic Resourse Cost(DRC)を比較することにより、以下の諸点を明らかにした。 1)カンボジアの芳香米は、低賃金のゆえにタイやラオスのそれに比べて国際競争力があることを実証した。また、ポスト・ハーベスト技術の改善や輸入ライセンス制とそれによって誘発された税関職員や警官による汚職の削減により、農家の手取り価格を高めることが可能となり、農村の貧困削減に大きな効果があることを、計量経済学的分析により、明らかにした。 2)ラオスの芳香米については、公定為替レートで生産費やDRCを推計すると、タイより高いのであるが、これは為替レートが過大評価されていることに起因するためであることを、実質均衡為替レートを推計し、生産費、DRCを再推計することにより明らかにした。カンボジアとの比較においては、為替レートを修正しても競争力は依然として低くなるが、これは、ラオスの場合、商業的稲作農業への転換が送れているため、機械が進展せず、かつ農業労賃が相対的に高いことが、主要な要因であることも、合わせて明らかになった。 ラオスの黄牛、カンボジア、ラオスのメイズについても、実態調査の結果、競争力はあるものの、輸出拡大のためには、前者については、防疫・検疫システムの改善、飼料生産技術の普及、後者については、地力維持のための持続的農業生産技術の開発・普及が不可欠であることが明らかとなった。
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