本研究の目的は、研究代表者等が開発を進めてきたパソコン用ソフトウェア「水田作経営の一筆圃場管理システム」を用いて、個別や集団による大規模水田作経営の土地利用高度化に向けた活動支援の方策を、経営情報システム論の観点から理論的、実証的に検討し、科学的手法を提起することにある。 研究の構成と主要な成果は以下の通りである。 1.大規模水田作経営の経営情報システム 鳥取県K有限会社、兵庫県M農協サービス事業体を対象にして、経営情報システムの利用実態について調査し、水田利用高度化に向けたシステム開発の課題を整理した。また、中国農業科学院農業経済研究所と共同研究を実施し、吉林省九台市で2戸の水田作経営を対象に調査を行い、中国の水田濃業への経営情報システム適用の可能性を検討した。 2.地図情報システム(GIS)を活用したパソコン用ソフトウェア開発 大規模水田作経営を対象にした「一筆圃場管理システム」の改良を進め、機能強化と操作性の向上を実現した。重点的に機能開発に取り組んだのは、農作業の計画管理、水稲の低収要因解析、データ互換による白地図作成、利用データを構成する各台帳のデータベース管理等である。 2.地図情報システムを活用したパソコン用ソフトウェアの現地実証 鳥取県K有限会社、兵庫県M農協サービス事業体を対象に現地実証試験を実施し、ソフトウェアの実用性を高めるための開発試験を進めた。両経営では、本システムを営農活動に本格的に活用し、生産性の向上に役立てている。
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