研究課題/領域番号 |
14560190
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
農業経済学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
福田 晋 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (40183925)
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研究分担者 |
甲斐 諭 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (70038313)
淡路 和則 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (90201904)
豐 智行 九州大学, 大学院・農学研究院, 助手 (40335998)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2004
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キーワード | 産業構造 / 仲介調整組織 / 規模の経済性 / 範囲の経済性 / 総合コントラクター / TMR供給 / 飼料稲 / 取引コスト |
研究概要 |
調査研究で明らかになった諸点を整理する。 1.日本のファームコントラクターは、株式会社、有限会社などの法人経営体から農協直営組織、農業公杜、数戸の農家で構成する営農集団まで多様な経営形態の産業構造となっている。しかしながら、1つのエリアで複数の事業体が競争する構造とはなっておらず、むしろ棲み分けができている。 2.ファームコントラクターによる作業の効率性を見ると、大型機械を装備し、作業受託規模が大きな有限会社や農協組織では、作業規模の拡大による規模の経済性が認められるが、営農集団では規模の経済性は認められない。その一方で、飼料作部門から参入したコントラクターは、季節の繁閑性を克服するために事業の多角化を図る傾向があり、耕種部門、畜産部門の堆肥散布などに参入している。これにより範囲の経済性を生み出している。 3.コントラクターと委託者との契約は直接相対で行われるケースがほとんどであるが、両者の間に「仲介・調整組織」が介在することで、作業の調整、機械、労働力の調整を行うことができ、両者の取引コストを軽減しているケースが生じている。 4.ドイツ北部ではマシンネンリングの中にコントラクターも加入し、耕種部門、飼料部門だけでなく、除雪、公園清掃、コンポストの収集作業、汚泥処理など農村環境整備とも言える分野への参入を始めている。 5.国内におけるファームコントラクターの展開に当たって、新たな米政策改革と自給飼料増産政策の影響もあり、飼料稲の供給に関わる組織の増大が特筆される。それは、従来の畜産地帯のみならず、東北、関東の水田地帯に比較的多く展開した。産業組織的には稲作における受託組織からの参入があることが明らかとなった。 6.北海道を中心に、混合飼料の最終製品としてのTMR供給を業務とするコントラクターへの展開が明らかとなった。これは、自給飼料基盤の確立という視点からは、究極のコントラクターの姿に近づいていると評価される。
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