平成15年度に、新しく2001年の「農村開発データベース」を入手した。1986年より2001年に至る入手済みのデータより計測した生産関数の計測結果は、統計的にも、理論的にも納得できるものでなかった。代替策として、中央平原のスパンブリ県の3か村で、1987年と1998年とに、Ohtsuka、Isvilanonda、およびHossain等がおこなった農家経済調査の個別結果表(サンプル数:1987年142、1998年101)の提供を受け、期待どおりの生産関数の計測結果を得た。この結果を用いて労働の限界生産力を推定し、それらと賃金率とを比較した結果、サンプルのうち2/3の農家が労働投入を合理的におこない、1/3の農家が過剰労働投入をおこなっていたという結果を得た。これらの結果は、3つの論稿として、発表された。なお、生産関数として、伝統的な生産関数と確率的フロンティア生産関数とが計測され、前者が2つの論稿で、後者が1つの論稿で発表された。加えて、生産関数の計測に用いられたスパンブリ県の同一の3か村において、カセサート大学のAungusmalin準教授の助力を得て、平成15年12月と平成16年1月とに、178戸の農家経済調査を実施し、現在、分析作業中である。
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