土壌および多孔質体試料を種々の濃度のアニオン界面活性剤溶液に浸漬し、上方浸潤させたた。そして、浸潤速度を測定し、界面活性剤濃度が水浸潤に及ぼす影響とそのメカニズムを検討した。 実験試料として、無機質の豊浦標準砂、有機質の腐葉土・ピート、腐植に富み負荷電を持つ大山火山灰土A層、正負両変異荷電を持つ大山火山灰土B層の土壌を用いた。風乾後、850μm篩を通過し、75μm篩に残留する分を試料とした。現象を明確に比較検討する目的で、ガラスビーズ(平均径0.1mm)、ポリエチレン粒子(住友精化フロービーズ。CL2507平均径0.18mm)も用いた。浸濁実験の前に、前処理をして表面の条件を整えた。何れも、風乾試料を用いた。 典型的なアニオン性界面活性剤のドデシル硫酸ナトリウムを用いた。臨界ミセル濃度の1/2倍、1倍、3倍、10倍の溶液と純水を上方浸潤実験に用いた。粒子表面の接触角を計算するため、接触角が0°になると考えられるエタノールも浸潤させた。 内径2cmのアクリル円筒に、風乾資料を均質に充填し、溶液を下方から浸潤させて、その上昇高さを経時的に測定した。試料円筒下端から20cm上が水面となるようにした。 蒸留水との接触角が90°以下のぬれやすい試料(ガラスビーズ、標準砂、腐葉土)では、界面活性剤の増加により浸潤が遅くなり、蒸留水との接触角が、90°以上のぬれにく.い試料くポリキチレン粒子、ピートモス)では、界面活性剤の増加により浸潤が速くなることがわかった。これらの現象は溶液の表面張力γと接触角θにより説明できた。
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