研究概要 |
初年度では,上記のとおり対象流域の全体像とともに流域内に位置するため池および水利系統を明確化し,現地踏査あるいはデータ計測によって,ため池および関係する水利施設の水理諸元を得て,これらをデータベース化した.また,主要ため池の一つである宝憧寺池を対象に,その貯水管理の基本ルールを聞き取りによって明らかにした. 第一に,本研究の実施にあたり,平野部のため池群を有する対象流域として,清水川(普通河川,土器川水系)を選定した.清水川は流域面積2.8km^2(うち平地面積2.7km^2),流路延長2.5kmであり,丸亀平野を流下する小河川である.同流域には,清水川の河道外に桝池,仁池,辻池,宝憧寺池,大池,矢野池,宮池,原池,大林池,庄ノ池,馬池,中原池,宮池を有するとともに,同河川の河道内に聖池の計14個のため池を有している.また,聖池を除く13のため池はいずれも自己集水域を持たないため,貯水維持あるいは回復を図るなどの目的で,満濃池からの送水路である蓮池幹線水路よおびその支線水路群により水供給が行われている. 第二に,データベースとして整備した水理諸元として,ため池については堤長,堤高,満水面積,水深,有効貯水容量であり,用水路(ため池への導水路およびため池から用水路)については水路高,底幅,天端幅,水深,勾配,延長,施設容量である. 第三に,ため池水管理の実態把握として宝憧寺池を取り上げ,平水年における期別貯水変動の標準パターンを中心に明らかにした.その結果,台風期には池守の判断により予備放流を行うことがあり,9月頃になると貯水管理の目安として満水位下20〜30cm水位を落とす管理操作が行われていること,8月以降は週4日配水,週3日休止のパターンとなっていることが明らかになった.
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