研究概要 |
クローズドまたはセミクローズドパイプラインは,圧力の変動が広範囲に波及するため,分水管理労力の軽減のために,定流量弁の導入が図られている.このような自動減圧弁と定流量弁を組み合わせたセミクローズドパイプラインを導入した地区において,自動減圧弁が過剰に開閉し,これが収束しないで大きな圧力変動が長時間継続した事例が発生している.そこで,パイプライン用の圧力計により計測したデータを,A/Dコンバータを中継して,直接パーソナルコンピュータへ記録するシステムを構築し,現場水理実験でのデータを集積して,その結果を分析したところ,自動減圧弁と定流量弁の間に自励振動が発生し,過剰な圧力が発生したものと推察された. また,この計測システムを,新型自動減圧弁と固定流量・直動式の定流量弁を直列に設置した屋内の実験パイプラインに適用し,自動減圧弁の1次側の圧力を設定圧に制御し,実験パイプラインの末端バルブを種々の使用条件で操作して,様々な圧力・流量変動状態を発生させ,減圧弁と定流量弁の作動状況を検証した.さらに,可変流量・ダイアフラム式の定流量弁を使用した場合における自動減圧弁との自励振動について検証したところ,以下のような結果が得られた. (1)新型自動減圧弁と流量固定・直動式定流量弁の組み合わせにおける自励振動発生については,現地試験では発生したが,屋内水理実験では発生しなかったことより,現地のパイプライン自体に原因があるものと推察される. (2)新型自動減圧弁と可変流量・ダイアフラム式定流量弁の組み合わせにおいては,自励振動が屋内水理実験では発生しないので,可変流量・ダイアフラム式定流量弁が有効な対策となる.
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