研究概要 |
石炭ガス化溶融スラグのコンクリート用細骨材としての検討およびごみ溶融スラグ人工石の建設資材としての検討を行った。その結果、以下のことが明らかとなった。 1)石炭ガス化溶融スラグ細骨材:石炭灰は1000万tが発生しており、産業廃棄物の中でも最大量を占める。現在、その大半は埋立処分され、残りはセメント原料として利用されている。しかし、埋め立て処分場の逼迫,セメント生産量の減少などから,石炭灰の有効利用が望まれている。石炭ガス化溶融スラグは,石炭ガス化複合発電(IGCC)方式の際に発生するもので、砂状の粒である。本研究ではこのスラグについてコンクリート用細骨材としての利用の可能性について検討した。研究の結果,コンクリート用細骨材としての品質基準をいずれのスラグも満足し、スラグがコンクリート用細骨材として利用できる可能性が高いことが明らかとなった。また置換率50%のコンクリート製品は,強度および耐凍害性において問題なく,実用可能であると判断された。 2)ごみ溶融スラグ人工石:ごみ焼却灰を溶融し、これをゆっくり冷却、結晶化させた人工石について建設資材としてのリサイクルの可能性を検討するため、排水路工における玉石の代替材料および人工漁礁材への適用を試みた。その結果、多自然型工法や磯やけなどに対応できる建設資材として、十分利用可能であると判断された。このことは、廃棄物の有効利用を行うことのみならず、環境の保全に積極的に働きかけること証明するもので、今後の環境保全事業の取組みにおいて大きなヒントを与えた。
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