研究概要 |
本研究では,ごみ溶融スラグのコンクリート用骨材としての利用に関する研究を中心に行ったが,研究途中で,石材としての利用,石炭ガス化スラグの利用についても併せて検討した。研究結果を要約すると以下のようになる。 (1)都市ごみ溶融スラグ細骨材および粗骨材のコンクリートへの利用:4種類の溶融スラグ細骨材および3種類の空冷スラグ粗骨材について利用の可能性について検討した。研究の結果,製造方法の違いによりスラグの性質はやや異なるものの,コンクリート用細骨材および粗骨材としての品質基準をいずれのスラグも概ね満足した。また細骨材置換率50%の鉄筋コンクリート製品は,強度構造性状および耐凍害性において問題なく,実用可能であると判断された。さらに高強度コンクリートを作製し,プレストレストコンクリート部材の特性を調べた。その結果,定着長さ,PC板の収縮ひずみおよび静的曲げ破壊性状は普通骨材を用いた場合と同等で,ごみ溶融スラグを用いた高強度コンクリートはプレストレストコンクリート部材に使用可能であると判断された。 (2)スラグ人工石の環境保全型資材としての利用:ごみ焼却灰を溶融し結晶化させた人工石について建設資材としてのリサイクルの可能性を検討するため,排水路工における玉石の代替材料および人工漁礁材への適用を試みた。その結果,多自然型工法や磯やけなどに対応できる建設資材として,十分利用可能であると判断された。 (3)石炭ガス溶融スラグの利用:化複合発電は,石炭ガス化溶融スラグのコンクリートおよびアスファルト用細骨材としてリサイクルの可能性を検討した。その結果,環境安全性および物理的・化学的品質において問題なく,利用可能であると判断された。
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