研究概要 |
液剤の農薬を噴霧するときに発生する目的外飛散(ドリフト)を回収する装置の設計・製作と画像による飛散量の推定の可能性を調査した。回収するのは,ブームスプレヤによる防除作業において散布量の約70%が落下する作物条間の水滴粒である。 装置設計は昨年までの試験と分析結果に基づいて,湾曲した板を格子状に配置し,格子隙間を飛行中の水滴粒が空気流とは異なった飛行軌跡を描くことによって板面に付着する、という構想の下に行った。回収試験は行っていないが装置の懸架部の設計・製作を行った。本機をトラクタ後部のブームスプレヤ架体に取り付けアスファルト路面並びに畑地で走行実験を行った。やや振動が大きいものの防除作業に支障はなく,当初予定した機能を満たした。次年度に考案した数種の回収部を取り付けて試験を実施する計画である。 回収結果の評価に必要な目的外飛散量の簡便な推定方法について検討した。スライドガラスに付着した水滴粒の画像により飛散量を推定する方法である。塩化カリウム水溶液と市販の蛍光塗料を混ぜた散布液を用い,散布液濃度と導電率から校正曲線を求め,散布液の導電率から飛散量を求めた。散布液の水滴粒が付着したスライドガラスをスキャナーで画像としてコンピュータに取り込み,画像から求めた水滴粒の円相当径から作製した付着モデルにより水滴の体積を求め,スライドガラス上の個々の水滴粒を累計して飛散量とした。この方法は導電率を用いる方法より簡便で,労力も要しないが,飛散量が多いと散布液がスライドガラス一面に広がり,正確な飛散量をもとめることは困難であった。この場合は円相当径に変わる新たなパラメータを考案する必要があった。
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