研究概要 |
本研究はロボットと人間が協調して作業を行うテレロボティクスの開発を最終目標としており,今年度は,トマト収穫ロボットの開発を行い,前年度に開発した情報収集ロボットとネットワークを併用して温室内で実験を行った。 収穫ロボットのマニピュレータに関しては,トマトの栽培様式を考慮し,5自由度の垂直多関節型と前後および上下の2自由度直動関節を組み合わせ,計7自由度とした。これは上下に存在するトマト果実を無理のない姿勢で収穫するためである。収穫用エンドエフェクタは吸着パッドと4本のフレキシブルなフィンガを有する多指型とした。前後方向にスライドする吸着パッドによって,目的の果実だけを果房から分離し,フィンガで果実を包み込むように把持する。このエンドエフェクタはハサミを用いる代わりに,離層の部分から果実をもぎ取って収穫する。 温室での実験ではまず,情報収集ロボットによってトマトの3次元距離情報とカラー画像を取得し,その情報を無線LANを介してサーバに転送する。サーバでは前年度に開発したアルゴリズムによって,各果実の識別や座標の検出が行われ,結果が保存される。遠隔のクライアントは任意の時間にサーバにアクセスし,サーバが判断した結果をチェックする。その判断にミスがあったり,収穫果実の追加などがあれば,ディスプレイ上で修正を行う。サーバでは再計算が行われ,収穫ロボットに収穫対象果実の3次元座標が送信される。 実験の結果,同一果房内で最初に収穫対象となった果実の収穫成功率はほぼ100%であったが,2番目以降の果実においては,果房の位置がずれた場合などにおいては,収穫できない場合があった。したがって,収穫ロボットにも簡易型のカラーカメラを装着するなどの手段が必要であると考えられた。次年度は,その問題点の解決も含め,ロボットシステム全体の実験と問題点の抽出・解決を行う。
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