胎生種子由来の胚軸を持つマングローブ幼植物では、根へのO_2供給に、胚軸表面の皮目からのO_2拡散、およびの胚軸の光合成によるO_2生成が関与することが推測される。本研究では、マングローブ実生胚軸表面の被覆による遮光および通気抑制が胚軸・根内O_2濃度、葉面コンダクタンスにおよぼす影響を調べた。 胚軸表面の遮光、通気抑制およびこれら2つを組み合わせた遮光・通気抑制処理の3条件で、ヤエヤマヒルギおよびオヒルギ実生胚軸内および根内O_2濃度を連続測定した。培地にはロックウールを用いた。遮光および通気抑制は、アルミフォイルおよび透明シリコン充填剤をそれぞれ胚軸表面に被覆することで行った。その結果、無処理時の根内O_2濃度は7.2%で、胚軸内O_2濃度16.8%の約2/5であった。通気抑制処理によって胚軸内O_2濃度は0.5%に低下し、根内O_2濃度は0.3%に低下した。遮光・通気抑制処理によって、胚軸内および根内O_2濃度はともに0.2%に低下した。遮光、通気抑制および遮光・通気抑制処理によって、葉面コンダクタンスはそれぞれ無処理の61%、54%および13%に低下した。また無処理、遮光、通気抑制および遮光・通気抑制処理後14日目の実生生存率はそれぞれ100%、100%、80%および0%であった。 以上、胚軸表面の遮光通気抑制処理によって、胚軸内および根内O_2濃度、葉面コンダクタンスおよび生存率が低下した。根内O_2濃度の低下は、胚軸表面の遮光および通気抑制によって胚軸での光合成に伴うO_2生成および大気からのO_2拡散が抑制されたことに起因すると考えられる。葉面コンダクタンスの低下は、根内O_2濃度の低下に伴って根の吸水能力が低下し、植物体が水ストレスを受けたためと考えられる。
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