ニワトリおよびヒト糞便から腸管上皮細胞モデル(ニワトリそのう切片、Caco-2細胞、HT-29細胞、固定化細胞外マトリックスタンパク質)に付着性の高い菌株をスクリーニングした。この時、糞便材料からはLactobcillus crispatusやLb.gasseriが分離されることが多いが、これまでLb.crispatusを他のいわゆるLactobacill acidophilusグループの乳酸菌から鑑別して迅速に同定する方法は無かった。そこで、S-layerタンパク質遺伝子断片を増幅させるPCR法を考案し、Lb.crispatusの迅速同定を可能にした(研究発表・雑誌論文欄に記載)。当研究室保存のビフィズス菌株を用いても付着性の高い菌株をスクリーニングした。付着性の高い菌株乳酸桿菌やビフィズス菌株はサルモネラ菌などの病原菌の付着を阻害した。付着付着性が高かった菌株のうち、Lb.crispatus MH315のアドヘシンが46.5kDaのS-layerタンパク質と同定した。塩基配列から推定したアミノ酸配列を既知のS-layerタンパク質と比較し、ラミニン分子への結合ドメインを推定した(研究発表・雑誌論文欄に記載)。さらに、Lb.gasseriMH 411のアドヘシンが58.7kDaのタンパク質であることをファーウェスタン法により明らかにした。また、これらLactobacillus菌株のアドヘシンの発現条件についても明らかにした。ビフィズス菌についても付着因子を推定した。 種々の食品素材から過酸化水素産生活性の高い乳酸菌株をスクリーニングした。試験条件下で300ppm以上の過酸化水素を産生する株をLactococcus lactis subsp.lactisやLactobacillus plantarumと同定した。Lc.lactis subsp.lactis AI62は約300ppmの過酸化水素を産生し、Listeria ivanovii、Yersinia entercoliticaおよびAeromonas hydrophilaなどの病原菌を効果的に殺菌できることを明らかにした(研究発表・雑誌論文欄に記載)。
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