研究概要 |
コラーゲンを構成するアミノ酸の大部分は必須アミノ酸ではなく、蛋白質の栄養成分としての評価基準であるアミノ酸スコアは0である。コラーゲンおよびコラーゲン分解物の生理機能は不明な点が多く、経口摂取による効果が明確でないにも関わらず健康補助剤として認知されている。'そこで本研究では、食品として摂取されたコラーゲンが、胃および小腸で消化され、腸管から吸収、血中へ移行する代謝過程を追跡し、骨形成への影響について検討する事で、コラーゲンの新たな機能を解明する。 本年度の研究では、動物モデルに対するコラーゲン投与の影響について検討した。まず、卵巣摘出を行いエストロジェンの分泌を止めた(ovx)ラットを作製し骨粗鬆症への効果を検討した。また、自然発症型の関節症を誘発するモルモットへの効果についても検討した。これらの実験系において、コラーゲンやコラーゲン加水分解物を給餌することにより、骨粗鬆症においては、骨密度の改善を認めている。特に、骨基質の合成が盛んな海綿骨における骨密度の上昇が顕著であり、コラーゲン量の増加が確認できた。関節症においては、疾患部位における改善効果が認められた。これらの成果を、JAACT2002,Fuchuで発表している。 新たなコラーゲン資源を開発し、その利用法を確立するため、水生動物由来のコラーゲンに着目した研究も行っている。従来から供給されている陸生動物由来のコラーゲンとの比較を行い、生化学材料としての利用特性を明らかにし、Biosci.Biotechnol.Biochem.,66,2673-2676(2002)に報告している。
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