研究概要 |
申請者は、以前に既存のマウス系統とは別亜種に属するフィリピン産野生キャスタネウスマウスの遣伝子資源から生後10週齢成体重に関与する新規QTLsを染色体上に位置づけることに成功した。本研究では、マッピングされたこれらのQTLsの生物学的意義を確証するために、QTLsを個々に保有するコンジェニックマウス系統を樹立し、完成したコンジェニック系統の成長関連形質を評価することにより遺伝的背景を均一にしたときの各QTLの特徴を明らかにする。 1.コンジェニックマウス系統の作出: 第2、6、10及び12染色体上にあるQTLsを導入したコンジェニック系統を標準法に従って作出している。現在までにC57BL/6Jへの12回の戻し交配が完了し、兄妹交配により目的とする染色体領域を固牢させている。このうち、第2染色体についてコンジェニック系統の作出が完了し、目的の染色体領域の長さが若干異なる3種類のサブラインを樹立することができた。 2.成長関連形質の計測: 上記第2染色体に関するサブラインの一つについて、生後3から10週齢まで毎週体重計測を行った。また、10週齢に体長、尾長臓器(肝臓,腎臓等)と体脂肪(腎臓、生殖腺等の周囲)の重さを計測した。その結果、このサブラインは、体重と体脂肪の重さにコントロールのC57BL/6J系統より統計学的に有意に軽いことが判明した。現在詳細な解析を行っているが、樹立したサブラインについて目的とするQTLを保有しているという確証が得られた。
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