研究概要 |
本研究の目的は、以前にマッピングされた生後10週齢成体重に関与するQTLsの生物学的意義を確証するために、ユニークなQTLsを個々に保有するコンジェニックマウス系統を樹立し、樹立したコンジェニック系統の成長関連形質を評価することにより遺伝的背景を均一にしたときの各QTLの特徴を明らかにすることである。 1.コンジェニックマウス系統の樹立: 第2、6、10及び12染色体上にあるQTLsをそれぞれ導入したコンジェニック系統を標準法に基づいて作出することに成功した。第2染色体については、目的の染色体領域の長さが若干異なる3種類のサブラインを樹立することができた。マウスの全ゲノムを網羅する90個のマイクロサテライトマーカーの遺伝子型をPCRとアガロースゲル電気泳動法により決定した結果、第2染色体の2つのサブラインを除いて、目的とする染色体領域以外が全てC57BL/6Jに固定していることが確認できた。 2.成長関連形質の評価と候補遺伝子解析: 上述の第2染色体の1つのサブライン、第10及び第12染色体に関するコンジェニック系統について、生後1から10週齢まで毎週体重計測を行った。また、10週齢に体長、尾長、臓器(肝臓,腎臓等)と体脂肪(腎臓、生殖腺等の周囲)の重さを計測した。その結果、第2染色体のサブラインを除いて、期待した通りの結果が得られた。したがって、樹立したコンジェニック系統が目的とするQTLを保有しているという確証が得られた。データベース検索の結果、グルカゴン遺伝子や脂肪代謝に関わる転写因子が候補遺伝子として挙げることができた。
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