研究課題/領域番号 |
14560244
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
菅原 邦生 宇都宮大学, 農学部, 教授 (50091947)
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研究分担者 |
杉田 昭栄 宇都宮大学, 農学部, 教授 (50154472)
田中 秀幸 宇都宮大学, 農学部, 教授 (70091949)
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キーワード | リジン欠乏 / 延髄孤束核 / Fos免疫陽性細胞 / 鶏 / 飼料摂取量 / NPY |
研究概要 |
14及び15年度の研究によって、血漿中アミノ酸濃度の変化がリジン欠乏時の初期摂食応答すなわち摂食量の減少に関連していることが明らかになりつつあるので、16年度はこの変化が中枢に運ばれる経路の探索を行った. 迷走神経切断と免疫組織学的手法とを平行して進めたが、後者によって新たな成果が得られた.すなわち、リジン欠乏飼料(リジンを全く含まない精製飼料)を3時間給与後、ヒナを灌粒固定し延髄から薄切標本を調製し、抗ニワトリFos血清で処理したところ、孤束核に免疫陽性細胞が見いだされた.また、この細胞の数は対照飼料(リジン含量11.9g/kg)を与えたヒナの延髄孤束核にみられたものより多かった.上記の結果は末梢の血漿中アミノ酸濃度の変化が延髄孤束核を経て脳内に伝えられる可能性を示唆するものである. また、ニューロペプチドY(NPY)をニワトリの側脳室に投与すると摂食量が増加させるので、NPYの投与がリジン欠乏による摂食減少を回復させることができるのか否かを調査した.その結果、NPYを投与してもリジン欠乏による摂食量の減少が緩和されることがなかったので、リジン欠乏の摂食抑制作用はかなり強いものであることが明らかになった.3年間の成果を下記に列記する. 1.嗅覚情報はリジン欠乏に対する初期摂食応答に関与しているかもしれない. 2.リジン欠乏飼料を2時間摂取した後のニワトリ脳内リジン濃度は対照飼料摂取ニワトリの1/2に減少したが、部位特異性はみられなかった. 3.リジン不足状態のニワトリヒナの脳内のチロシン、γアミノ酪酸、グルタミン酸含量が減少し、アミノ酸神経伝達物質の関与が示唆された. 4.末梢の血漿中アミノ酸濃度の変化が延髄孤束核を経て脳内に伝えられる可能性がある. 5.リジン欠乏の摂食抑制作用はNPYの作用をしのぐほど強い.
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