研究課題/領域番号 |
14560248
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大森 保成 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教授 (60152261)
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研究分担者 |
福田 勝洋 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (10012022)
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キーワード | 鶏 / 消化管 / 筋層間神経叢 / 粘膜下神経叢 / 内在性 / 神経支配 / 酵素組織化学 / ホールマウント |
研究概要 |
鶏の消化管壁内には粘膜下神経叢と筋層間神経叢があり、自律的な消化管運動を支配している。養鶏業界では次第に低下してきた産卵率を再び向上させるために鶏を1週間ほど絶食し、強制換羽を行っているが、本研究は絶食によりこれら壁内神経叢を構成する神経節細胞にどのような影響があるのかを形態学的に明らかにしようと試みた。雄の成鶏を用い、給水絶食の状態で1週間飼育した。麻酔下で頸動脈を切断して放血し、直ちに腸管各部を摘出して4%パラホルムアルデヒド液に入れ、浸漬固定した。腸間膜に沿って腸管を縦に切開し、粘膜を剥ぎ取って筋層だけのホールマウント標本を作製した。抑制性神経節細胞をNADPHジアホラーゼの酵素反応により、興奮性神経節細胞をChATに対する抗体を用いた免疫組織化学法により可視化した。絶食群の鶏は摂食群の鶏と比べて回腸、盲腸、直腸で筋層間神経叢の抑制性神経節細胞数が有意に減少した。一方、粘膜下神経叢は腸管のいずれの部位でも抑制性神経節細胞数に変化が見られなかった。筋層間神経叢の神経節細胞は輪筋層と縦筋層の平滑筋に分布しており、腸管の蠕動運動や分節運動を支配している。筋層間神経叢における抑制性神経節細胞数の減少は絶食により腸管の内容物がなくなり、腸管運動が停止したために起こったと考えられる。また、絶食後に腸管が収縮し、管径が小さくなるのも単に内容物がなくなっただけでなく、抑制性神経節細胞数の減少により平滑筋の弛緩が起きなくなったためと思われる。抑制性神経節細胞数の減少は神経節細胞自体が消失したとは考えにくく、一時的に神経伝達物質を合成しなくなったために起きたと推測される。興奮性神経節細胞数の変化については現在解析を進めている。
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