研究概要 |
これまでの研究成果を要約すると(1)犬及び豚からのBrachyspira pilosicoliの分離(2)下痢発症患者の大腸からのBrachyspira aalborgi, Brachyspira pilosicoli菌の分離と分離方法の確立(3)分離菌の生物学的性状の比較(4)ヒトから分離された菌の形態学的研究と他の動物から分離された菌の比較(5)抗生物質に対する感受性試験(6)マクロライド耐性に関与する23SリボソームDNA上の点変異(7)DNA-DNA相同性試験による菌の分類(8)16S rDNAの塩基配列に基づく新菌種の相同性(9)新菌種の提唱などで、それら明らかになった成果についてはしかるべき学会誌で報告した。即ち、本研究から、B. pilosicoliの日本の豚や犬に感染していることを初めて明らかにし、特に人間にも感染していることを明らかにした。ヒトの場合、B.aalborgi感染大腸粘膜には発赤が認められる程度であったが、B.pilosicoli感染症ではその大腸粘膜には粘液の放出及び、発赤が所々に認められ、その症状はカタール性で、感染の激しさが伺えた。また犬から分離されたB.pilosicoliはタイロシン感受性であったが、豚から分離されたB.pilosicoliはタイロシン耐性であった。この違いは、23SリボソームDNAの塩基配列解析によって2059番目の塩基がA-G transition変異であることを明らかにした。
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