研究課題/領域番号 |
14560262
|
研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
下田 実 東京農工大学, 農学部, 助教授 (50154323)
|
研究分担者 |
斉藤 俊樹 日本生物科学研究所, 主任研究員 (00162214)
小久江 栄一 東京農工大学, 農学部, 教授 (50014965)
|
キーワード | CYP1A阻害 / CYP3A阻害 / ニューキノロン / ケトコナゾール / エリスロマイシン / シメチジン / イヌ |
研究概要 |
1.肝マイクロソームを用いたin vitroでの阻害試験 ニューキノロン系抗菌薬(オフロキサシン、ノルフロキサシン、オルビフロキサシン、エンロフロキサシンおよびシプロフロキサシン)のシトクロムP450(CYP)1Aおよび3Aに対する阻害作用、さらにケトコナゾール、エリスロマイシンおよびシメチジンのCYP3Aに対する阻害作用を検討した。ニューキノロン系抗菌薬はいずれもCYP1Aを非競合的に阻害したが、阻害定数(Ki)は3.21〜52.7mMで、阻害の程度は弱かった。しかし、オフロキサシン、オルビフロキサシンおよびシプロフロキサシンは非可逆的を阻害も示した。このため、これらのニューキノロンは繰り返し投与した場合に臨床上問題となる相互作用を引き起こす可能性が示唆された。ニューキノロンのCYP3Aに対する阻害も、CYP1Aに対するものと同程度であった。 ケトコナゾールのCYP3Aを強力に競合的に阻害し、Ki値は43.1nMであった。一方エリスロマイシンとシメチジンもCYP3Aを競合的に阻害したが、Ki値はそれぞれ121μM、67.7μMであり、阻害の程度は比較的弱かった。これらの薬物は非可逆的な阻害は示さなかった。このため、これらの薬物の中ではケトコナゾールだけが臨床上問題となる相互作用を引き起こす可能性があるものと考えられた。 2.CYP阻害に関するin vivo試験 4匹のビーグル犬にケトコナゾール20mg/kgを1日2回、30日間経口投与し、CYP3Aの基質であるミダゾラム静注後の全身クリアランス(CLtot)への影響を検討した。ミダゾラムのCLtotは投与開始5日までに1/3程度まで減少し、以後ほぼ一定の値を示した。この結果から、ケトコナゾールはCYP3Aで代謝される薬物を併用した場合、その薬物のCLtotにかなり影響して蓄積させ、副作用を引き起こす可能性が高いことが示唆された。
|