研究概要 |
ウマヘルペスウイルス9型(EHV-9)は動物園で集団発生したトムソンガゼルの脳炎から分離された新しいウイルスである.EHV-9は強い神経毒性と広い宿主域を有している.本研究ではEHV-9の強い神経向性および神経病原性のメカニズムを分子レベルで明らかにしようとしている.本年度は,ウイルス改変の基盤作りとして細菌性人工染色体(Bacterial Artificail Chromosome, BAC)としてEHV-9ゲノムを大腸菌にクローニングすることを目指した. BACクローニングを行なうため,初めに非遺伝子領域に発現マーカー遺伝子(緑色蛍光タンパク質遺伝子,Green Fluorescence Protein gene, GFP gene)を挿入した.このGFP発現カセットは両端にloxP配列を含んでいる.GFP発現カセットはORF62と63の間にある大きな非遺伝子領域のほぼ中央に挿入された.このウイルスをEHV-9-GFPとした.Cre組換え酵素を用い,EHV-9-GFPからGFP発現カセットを削除した.このウイルスはGFP発現カセットが挿入された部分にloxP配列を1コピー有する.これをEHV-9-loxPとした.Cre組換え酵素によりEHV-9-loxPへloxP配列をもつpBeloBACプラスミドDNAの挿入を行なった.しかしながら,本報告書作成までにBACが挿入されたEHV-9は得られていない.組換えの条件を種々検討している.
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