研究課題/領域番号 |
14560266
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
日笠 喜朗 国立大学法人鳥取大学, 農学部, 教授 (30165071)
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研究分担者 |
松田 浩珍 国立大学法人東京農工大学, 農学部, 教授 (80145820)
山野 好章 国立大学法人鳥取大学, 農学部, 助教授 (00182593)
森田 剛仁 国立大学法人鳥取大学, 農学部, 助教授 (70273901)
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キーワード | イヌ / 血小板 / 拡張型心筋症 / イミダゾリン受容体 / 循環器 / 遺伝 / アドレナリン受容体 / カテコラミン |
研究概要 |
本年度では、遺伝性拡張型心筋症を発症する家系犬において心機能の評価を行い、臨床的に心機能異常を示した個体における血小板のα_2-アドレナリン受容体とイミダゾリン受容体(I-受容体)の受容体数と親和性の変化を検討した。供試動物は各種検査より拡張型心筋症を発症していると診断したアメリカンコッカースパニエル4頭を症例群として、また対照群としてビーグル4頭を用いた。各犬から採血を行い、遠心分離法により血小板を分離・精製して血小板膜溶液を作製し、ラジオレセプターアッセイ法を行った。α_2-受容体、I-受容体に対して各種薬物の飽和実験を行い、最大結合量と解離定数を求め、ビーグル群と比較した。また血中カテコールアミン濃度の測定を実施した。その結果、症例群の血小板α_2-受容体数はビーグル群に比べ減少し、親和性はビーグル群より低下した。I_1-受容体数は症例群においてビーグル群より減少傾向を示した。I_2-受容体は受容体数および親和性とも両群間に著変なかった。血漿アドレナリン濃度は症例群が対照群より高値を示した。また、α_2-受容体数は、血漿アドレナリン濃度と有意な負の相関関係が認められた。以上の成績より、拡張型心筋症の発症犬において、血漿アドレナリン濃度上昇とα_2-受容体数の減少、また両者が負の相関関係を示した。このことは、心機能異常よって交感神経系および副腎系の活性化がもたらされることでα_2-受容体のダウンレギュレーションが起こっているものと考えられた。I_2-受容体においては正常犬との間に有意な違いが認められなかったが、I_1-受容体にはその傾向が認められたため、今後さらに病態が悪化した時の検査を行うことが望ましいと考えられた。血小板のα_2-受容体活性を測定することは心機能異常に伴う自律神経系異常の一つの指標として有用と思われた。一方、拡張型心筋症においてI-受容体はα_2-受容体に比べ受容体活性の変化が少ないと思われ、このことはI-受容体作用薬の方がα-受容体作用薬に比べ心疾患に対する治療薬としてより安定した作用を示す有用な薬物であると考えられた。
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