研究課題
2005年6月、特定外来生物法が正式施行され、それに伴う形でアライグマの安楽死処置と検査依頼が本格化し、道央地方で捕獲された個体で旋毛虫筋肉トリヒナTricinella sp.、センコウヒゼンダニSarcoptes scabiei重度寄生による疥癬およびバベシア寄生例など初めての発見が続いた。センコウヒゼンダニの寄生が確認されたアライグマは、2005年2月に捕獲された雄成獣で、背面の頚部から尾部にかけて脱毛と痂皮の形成が認められた。ダニの形態、DNA検査および病理組織学的検査を行い、アライグマから検出されたヒゼンダニとこれまでにタヌキなどの野生動物から検出されたヒゼンダニとの比較を行った。その結果、タヌキやキツネなどのイヌ科動物より検出されたヒゼンダニとほぼ同じであった。またITS-2領域のDNA配列を調べ既存の報告と比較したところ、キツネ由来の配列と100%の相同性が認められた。おそらく、同所的に生息している野生動物などから感染したのではないかと考えられた。一方、旋毛虫は分子解析によりT9型であることが判明した。在来種の保全医学の基礎情報蓄積のため、知床半島にて蠕虫類の保有状況を調べた。その結果、多くは報告のある種であったが、エゾリスからBrevistriata属線虫が検出されたのは初めてである。有害駆除されたヒグマからマレー鉤虫Ancylostoma malayanumが発見された。A.malayanumはヒトやイヌにも寄生し、濃厚感染では病原性が高いので、その分布や宿主域の把握は重要なテーマである。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (6件)
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