研究課題
基盤研究(C)
これからの動物園・水族館が果たす役割として、絶滅が懸念される野生動物棟の保護増殖の研究と実践がある。国連の調査では地球環境の劣化が現状で推移すると、2020年頃には1目に50から150種の生物が絶滅するであろうと予測され、その絶滅原因の除去と保護増殖活動が求められる。しかし、保護増殖活動で問題となるものの一つに、種々の寄生線虫症がある。たとえば、コウノトリやトキなどの魚食性鳥類で致死率の著しく高いエウストロンギルス属が本邦から検出されている。また、関東地方で移入種のタイワンリスから、野生リス類に腸炎を惹起するブレビストリアタ属線虫も発見された。さらに最近、英国で野生復帰計画にあったヨーロッパヤマネの死因の一つとして、ハツカネズミから感染したヘリグモソモイデス属線虫が問題であると指摘された。動物ばかりではなく、人間の健康にも危険を及ぼす寄生線虫、たとえばアライグマカイチュウやアニサキスなど野生動物由来の線虫類は少なくない。ところが、現在の保護増殖活動の中心基地である動物園・水族館におけるこれら寄生蠕虫類の本格的な調査は皆無である。そこで、今回、保護増殖活動の基礎研究の一環として、日本各地の動物園・水族館の展示動物の寄生線虫類の疫学調査を計画した。また、これら寄生虫がどのような経路で感染したのか、また自然界では宿主の健康に対しどのような影響を与えるのかを検討するために、動物園周辺および自然生態系に生息する野生動物の寄生線虫調査もあわせて実施し多くの知見を得た。本報告では、最近4年間で得られた調査結果をまとめる。そして、この知見は今後の我が国における保全医学研究のターニング・ポイントとなった。それは、この研究期間中の平成16年4月、文部科学省ハイテクリサーチ研究プロジェクトの助成を受け「酪農学園大学野生動物医額センター」が設立された。この施設は、寄生虫学に軸足を置いた保全医学拠点として注目され、その推進力に本研究がその基盤となったことを付記する。
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