研究課題
1.健康牛の扁桃から分離された豚丹毒菌の血清型平成14年度報告書で記載した牛の扁桃から分離した豚丹毒菌79株について1〜23型とN型の家兎抗血済を用いて分離株のオートクレーブ抽出抗原とのゲル内沈降反応による血清型別を行うとともに、血清型による菌種の同定を試みた。その結果、43株は9種類の血清型に分けられ、残りの36株は型別不能であった。型別された株のうち30株は血清型1b(4株)、2(6株)、5(2株)、9(3株)、12(1株)、19(13株)、21(1株)で、Erysipelothrix rhusiopathiaeと同定された。残りの1株は血清型3で、Erysipelothrix tonsillarumと同定された。以上より、牛扁桃由来豚丹毒菌の血清型はこれまで豚に病原性があるとされる1b型や2型の他、多種にわたるとともに、型別不能株が多いことが明らかとなった。2.健康牛の扁桃から分離された豚丹毒菌のマウスと豚に対する病原性1.で用いた牛由来豚丹毒菌79株のマウスと豚に対する病原性を調べた。その結果、5株(6.3%)がマウスに致死的であり、LD_<50>は0.33-5x10^2CFUであった。これらの株は血清型1b(1株)、2(2株)、19(1株)、及び21(1株)に属していた。21株(25.3%)は弱毒でマウスは毛の逆立や削痩を呈しただけであった。豚ではマウスに対して致死的であった5株と臨床症状のみを引き起こした3株について検討した。その結果、マウス致死性の5株のうち4株は発熱を伴って菌接種部位の皮膚に発疹を発現させた。そのうちの3株(1b、2及び19型)による発疹は全身の皮膚に及んだ。残りの1株(2型)による発疹は接種局所のみに留まった。1b型の別の株は発熱だけで、皮膚の発疹は発現されなかった。一方、マウスに対するLD_<50>がやや高かった21型の1株と臨床症状のみを引き起こした2型の2株では発熱が認められただけであった。また、分離株を接種された豚すべてにおいて生菌発育凝集抗体価の上昇が認められた。以上より、牛由来豚丹毒菌がマウスと豚に対して病原性があることが明らかになり、牛が、豚はもちろん人を含む他のほ乳類への本菌の感染源・伝播源となり得ることが示唆された。
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