研究課題/領域番号 |
14560283
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
宮武 和孝 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 教授 (70094513)
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研究分担者 |
上田 光宏 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 講師 (50254438)
中澤 昌美 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助手 (90343417)
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キーワード | 代謝工学 / クエン酸 / クエン酸トランスポーター / ポリグルタミン酸 / 納豆菌 / 遺伝子導入 |
研究概要 |
代謝工学的手法と遺伝子操作により、食品系廃棄物や未利用バイオマスなどを、未来素材として期待されているポリグルタミン酸に微生物にて安定変換生産させる基礎的研究である。ここでは、梅酢などに含まれるクエン酸を効率的にポリグルタミン酸に変換させることを目的とした。 これまで、納豆菌の近縁種の枯草菌のゲノムから、クエン酸トランスポーターと相同性の高い遺伝子をクローニングし、大腸菌、カビ等にサブクローニングして、納豆菌にて発現させる方法を検討したが、発現は不可能であった。そこで、本年度は、クエン酸資化の原点にもどり、市販の納豆菌も含めて、13の菌種について検討した。 その結果、最も多くPGA生産し、かつクエン酸資化する菌としてIF03013株を見出した。この菌に、さらにこれまで、酵母エキスを添加することで増産できることをもとに、最適添加条件について検討し、酵母エキス5%、クエン酸15%であることを見出した。さらに、代謝工学的に、ポリグルタミン酸生産量を増加させるため、紫外線照射による変異株取得を目指した。紫外線は10-120秒まで変化させ、60-90秒で、致死率が99%となった。上記条件にて、照射後、残存した菌のクエン酸資化率、ポリグルタミン酸生産量について検討した。12株の変異株が得られ、変異株4が生育は遅いが、クエン酸資化率、ポリグルタミン酸生産量が親株より、40%高い性質を有していた。これにより、培養液から約1gの乾燥ポリグルタミン酸生産が可能になった。今後、変異株のゲノム解析により、どのクエン酸トランスポーターが発現しているのか、ポリグルタミン酸生産系のいずれの酵素の発現が強化されたかを明らかにする必要があるとおもわれる。いずれにしても、吸水性に優れ、生分解性で、食しても無害であるため、食品、医薬品、化粧品の分野で増粘性、保湿剤への応用が期待できるポリグルタミン酸生産が梅酢廃液から可能になるものと結論づけることができた。
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