研究概要 |
本研究では、平成14年度から15年度の2年間にわたり、IL-2 receptorγchain knockout (IL-2R KO) mouseを用い、リンパ節の構築、微細環境の調節に関係すると考えられるstromal cellとFDC(濾胞樹状細胞)との関係について検討してきた。 In vivoの実験は、MOMA-1,MOMA-2,TCR-βchain, CD45R, MIDC-8,FDC-M1,FDC-M2などの抗体を用いた免疫組織化学法および電子顕微鏡法によって実施した。その結果、IL-2RγchainからのシグナルはT細胞の分化よりもB細胞の分化に不可欠なものであること、T細胞領域に存在するMIDC-8陽性のdendritic cellへの分化には影響しないこと、B細胞の存在がFDCの分化の初期よりも成熟に重要であることが示唆された。 In vitroの実験では、IL-2R KO mouseより分離したstromal cellとmemory T cell, memory B cell,免疫複合体とのco-cultureによりIL-2R KO mouseのリンパ節内に存在するStromal cell(形態的にはマクロファージ様の細胞)にFDCの前駆体が混在したこと、B cellとのco-cultureにより、stromal cellに形態的な変化が生じFDC様の形態をとったことは、In vivoにおける実験と同様にB細胞の存在がFDCの晩期の成熟に関与することを示唆する結果であった。
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