研究課題/領域番号 |
14570010
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
中村 高秋 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (30314157)
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研究分担者 |
柏木 厚典 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (20127210)
工藤 基 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (80108141)
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キーワード | 小腸幹細胞 / インスリン / 糖尿病 / Pdx1 / SUMO-1 / 過酸化物質 / β細胞死 |
研究概要 |
我々は小腸幹細胞株であるIEC-6細胞及び膵β細胞株であるβTC細胞を用いて以下の所見を発見した。すなわち、(1)Pdx1とSUMO-1が結合し、膵β細胞におけるインスリン合成に関与すること、(2)Pdx1がSUMO化することでプロテオゾームでの本蛋白の分解を抑制し、結果として核内発現量を増加させること、(3)核内発現量が増強したPdx1はインスリン遺伝子プロモーターに作用し、mRNA発現を増強させること、以上の三点である。詳細にはPdx1はリン酸化以外にSUMO化による修飾を受け、本蛋白が46kDaの分子量を示すことはSUMO-1との結合による。加えてSUMO-1発現を抑制すると、Pdx1のmRNA発現は変化せずPdx1の蛋白レベルのみに発現抑制を認めたことから、SUMO化はPdx1のpost-translational modificationに関与し、蛋白発現を増加させることが示唆された。今回、Pdx1がSUMO-1の標的蛋白となることからPdx1の機能不全によって発症する若年型糖尿病(MODY)の病態解明に光明となると考えられ意義深い(Am J Physiol, endocrinology and metabolism 2003)。 さらに、我々は食事中に含まれる過酸化物質が生体内において膵β細胞死を誘発し、結果として糖尿病を惹起することをラットを用いた検討で明らかにした。この時、vitamin Eである抗酸化剤を投与しても、この細胞死は軽減することなく、生体内で発生する過酸化脂質ではなく食事由来の過酸化物質が糖尿病を惹起することも今回の検討で明らかにした(Diabetes Res Clin Pr. Inpress)。この中で食事由来の過酸化物質は膵β細胞に対しては細胞死を誘導し、筋肉においてはinsulin receptor substrate1 (IRS-1)の蛋白量を低下させることでインスリン抵抗性が増強されることを発見した。
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