1)ラット膵外分泌細胞の核膜の8種類全ての面(外核膜真表面の細胞質面と核周囲腔面、外核膜半膜のP面とE面、内核膜真表面の核質面と核周囲腔面、内核膜半膜のP面とE面)を、固定液の種類と濃度、および凍結割断時の不凍液の濃度を調整することで意図的に露出し、オスミウム蒸着を行い、超高分解能走査型電子顕微鏡画像を得た。 2)核膜孔複合体の構成蛋白は0.1%オスミウム水溶液で長時間の浸軟処理を行うと核膜から除去されるため、核膜だけに縁取られた核膜孔(直径約45〜65nm)を細胞質側と、核質側の両方から観察・撮影することが可能となった。内核膜真表面の核質面では染色体を除去すると、核膜孔の縁がやや土手状に盛り上がり、外周直径約90nmのリングを形成していた。 3)外核膜真表面の細胞質側の観察結果から、核膜孔複合体の細胞質部分を構成する8個の粒子は、球形ではなく、ラクビーボール状(長径32nm、短径26nm)を呈し、オスミウム浸軟処理により比較的容易に溶出する。粒子が溶出すると、平坦な外核膜表面が露出することから、粒子は外核膜上に接しているだけで、核膜との密接な結合はないことが明らかとなった。 4)核膜孔複合体の中心部を塞いでいる構造(積荷cargoまたは輸送担体と積荷transport factors and cargoと考えられている。)は直径約25〜30nmを示した。その周囲を取り囲む核膜孔複合体の構成蛋白は16個の粒子がリング状(内径直径約10〜35nm、外径直径45〜65nm)に配列していた。核膜孔の外側で膜を隔てて核周囲腔内に位置するリング状構造(内径直径45〜65nm、外径直径90〜100nm)も16個の粒子から構成されていた。核周囲腔に位置する核膜孔複合体の構成蛋白と核膜孔内部に位置する構成蛋白は2個ずつのダイマーからなる8個の粒子が膜を介して強固な結合を保ちながらリングを形成していると思われる。
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