研究課題/領域番号 |
14570026
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
亀田 芙子 北里大学, 医学部, 教授 (10032898)
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研究分担者 |
新井 雄太 北里大学, 医学部, 助手 (60329026)
三浦 正明 北里大学, 医学部, 助手 (60276053)
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キーワード | Hoxa3ノックアウト・マウス / Cx43-lacZトランスジェニック・マウス / 第3鰓弓動脈 / 第3咽頭嚢 / 総頚動脈欠損 / 圧受容器 / 神経堤細胞 |
研究概要 |
Hox遺伝子群は脊椎動物の頭尾軸に沿った組織の領域特異性を決めるマスター遺伝子群である。そのうちHoxa3は第3鰓弓と第3咽頭嚢に強く発現し、Hoxa3ノックアウトマウスでは第3咽頭嚢由来器官である胸腺および上皮小体が欠損する。さらに第3鰓弓動脈が退化するため頚動脈系に異常が生じ、また第3鰓弓動脈壁に形成される頚動脈小体が欠損することを見い出した(Kameda et a1.,2002)。今回Hoxa3ホモ変異型マウスにおける頚動脈系異常と圧受容器の変異を、野性型およびヘテロ変異型マウスと比較して統計的に解析した。ホモ変異型マウスでは総頚動脈が欠落するかまたは著しく短かくなるため、内頚動脈と外頚動脈は著しく近位から起った。また腕頭動脈が伸長していた。頚部の長さが著しく短くなっていた。野性型の左側第4鰓弓動脈は大動脈弓B領域を形成するが、第3鰓弓動脈が消失するホモ変異型ではC領域を形成するため、大動脈弓C領域が長くなった。ホモ変異型では頚動脈分岐部は著しく低位置になるが、咽頭上端の頚動脈洞が存在すべき位置の内頚動脈には小さな圧受容器が存在した。また分岐部の位置でも内頚動脈起始部は、舌咽神経ではなく反回神経の枝を受けていた。第4鰓弓動脈に付随する圧受容器はB領域と右鎖骨下動脈に存在するが、ホモ変異型では大動脈弓B領域は背側大動脈に由来するにもかかわらず、野性型と同様に存在した。Connexin(Cx)43-lacZトランスジェニック・マウスではβ-galactosidase抗体を用いての免疫染色で神経堤由来細胞を特異的にラベルできる。Cx43-lacZマウスとの交配により、Hoxa3ホモ変異型マウスでの第3鰓弓動脈退縮の原因を調べた。胎生10.5日令で血管壁を造る神経堤由来の間葉細胞は野性型と同様にホモ変異型においても第3鰓弓に分布した。11.5日令から第3鰓弓動脈は退化するが、apoptosisの増加は見られなかった。Hoxa3ホモ変異型マウスで神経堤細胞は第3鰓弓に侵入するが、第3鰓弓との相互作用が正常にいかず、細胞増殖が抑制されるのではないかと考えられる。
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