研究課題/領域番号 |
14570029
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
栗原 秀剛 順天堂大学, 医学部, 助教授 (80311976)
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研究分担者 |
市村 浩一郎 順天堂大学, 医学部, 助手 (10343485)
坂井 建雄 順天堂大学, 医学部, 教授 (90114488)
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キーワード | 腎臓 / 糸球体 / 足細胞 / スリット膜 / 細胞間接着 / 細胞極性 |
研究概要 |
糸球体足細胞の足突起間にある特殊な細胞間接着構造であるスリット膜はapical膜とbasolateral膜を境界する構造として、膜ドメイン形成に重要な役割を演じていると考えられるが、それに関わる分子群は明らかではない。本年度は、新たなスリット膜関連蛋白としてタイト結合に局在するMAGI-1がスリット膜の基部に局在することを見いだした。ネフローゼの発症に伴いスリット膜は足突起間に形成される細胞間接着装置の上部に移行する。その際、MAGI-1は移動したスリット膜とともに細胞間接着装置の上部に移動し、足突起間に新たにできる細胞間接着装置の形成には関与しないことが分かった。蛋白尿が発症し、足突起の癒合が起こるに伴い、MAGI-1の発現の低下が認められたが、これはスリット膜の減少に一致しているものと考えられた。我々が確立した温度感受性のラット足細胞培養株では、足突起に相当する突起形成が37度で認められるが、その状態でMAGI-1は細胞の突起がかみ合った部分にもう一つのタイト結合蛋白であるZO-1と共局在していた。これらのことから、スリット膜の基部には、上皮細胞のタイト結合に局在する分子群が存在しており、この部分で膜ドメインの境をなしていることが理解できる。スリット膜関連分子の同定以外に足細胞の形態形成に重要な役割を演じる細胞骨格系の分子群についても検討を行った。その結果、足細胞の足突起の形成に重要な役割を演じているアクチン線維に2つの要素があることを明らかにした。すなわち、足突起のコアとなるアクチン線維束は主としてアクチニン分子が形成に関与しており、細胞膜の裏打ちのアクチンネットワークはコータクチン分子により形成されることを見いだした(J Histochem Cytochem51:1589-1600,2003)。さらに足細胞の細胞体と一次突起に分布する中間径線維であるビメンチンに結合する新規分子としてVmacを阪大医学部生化学の高井グループとともに発見し、報告した(BBRC in press)。
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