研究概要 |
脾洞の壁を作っている内皮細胞は、血球の通過関門を形成している。一般に血管内皮細胞は血流や血圧を感知し、shear stressに反応してstress fiberが変化する。stress fiberが収縮し、カベオラにCa^<2+>放出系に関わるIP3様レセプター、Ca^<2+>排出系に関わるポンプのCa^<2+>-ATPaseが存在することなどから、脾洞内皮細胞はstress fiberの収縮、細胞間接着装置の解離・結合、細胞骨格の改築などを行い、血球通過を調節していると考えられる。脾洞内細胞の血球通過の調節のメカニズムを解明するために、脾洞内皮細胞の微細構造を調べた。脾洞内皮細胞間にはtight junctionやadherens junctionが存在し、stress fiberが基底部に広くnetworkを形成すること、stress fiberの近くに細胞内に深く陥入した形質膜由来の小管構造、Ca^<2+>を貯蔵した小胞体、カベオラが多数存在するを明らかにした。stress fiberに近接してカベオラ、小胞体、骨格筋のT小管に類似した小管系が存在していることから、stress fiberの収縮には位置的に近いCa^<2+>による調節機構があると推定される。本研究で内皮細胞のstress Fiberの収縮と細胞内Ca^<2+>動態との関連を明らかにすることを目的に。Ca^<2+>の動員機構について微細構造学的に調べた。単離内皮細胞や組織凍結切片をCa^<2+>関連のチャネル、IP3レセプター、リアノジンリセプター、容量依存性のCa^<2+>チャネル等の抗体を用いて免疫染色し、局在を共焦点レーザー顕微鏡で調べた。さらに、免疫電子顕微鏡法を用いて、これらの局在とstress fiber,カベオラ、細胞内小管系との関連を調べた結果、これらは位置的に近接しており、密接な関係が有ることが解った。
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