研究課題/領域番号 |
14570037
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
桑木 共之 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (80205260)
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研究分担者 |
中村 晃 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助手 (40343090)
福田 康一郎 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (10009649)
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キーワード | 視床下部 / 防衛反射 / オレキシン / ストレス / ノックアウトマウス / 交感神経 / 国際情報交換 / 米国 |
研究概要 |
本研究の目的は、防衛反射の遠心機構を構成する神経回路ならびに神経伝達物質の候補として、オレキシン含有神経系の役割を検証する事であった。具体的には、オレキシンノックアウトマウスと正常対照マウスを用いて、各種の刺激によって防衛反射を惹起させた時の、循環・呼吸・覚醒レベル(脳波)・行動に対する効果を比較検討した。まず、麻酔したマウスを用いて、オレキシン神経細胞体の存在部位である視床下部脳弓周囲領域にGABAアンタゴニストであるビキュキュリンを微量圧注入したところ、観察される血圧・心拍数・呼吸数の増加と脳波の活性化(速波化)が、オレキシン欠損マウスにおいて有意に減弱していることが明らかになった。次に、無麻酔無拘束のマウスを用いて、縄張り(自分のケージ)内への別の雄マウスの侵入という社会心理的ストレスを与えることによって防衛反射を惹起した。この場合にも、血圧・心拍数・行動量の増加反応が、オレキシン欠損マウスにおいて有意に減弱していた。さらに、オレキシン欠損マウスは無刺激の安静状態においても低血圧を呈し、各種薬物の投与実験から、この低血圧は交感神経の活動低下によるものと結論された。以上の結果から、オレキシンは防衛反射の遠心機構の一翼を担い、さらに基礎血圧の決定にも関与していることが明らかになった。オレキシン受容体阻害剤を開発すれば、白衣高血圧のようなストレス性高血圧の発症をコントロールできるかも知れないと考えられる。
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