研究概要 |
マウスを寒冷で2週間飼育し寒冷馴化させると、体温は一定に保たれるが、自律神経遮断下での固有心拍数が著しく減少した。心室筋を用いた実験では動物の寒冷順化でL型Caチャネルが低分子量G蛋白の関与で遅い不活性化機構が出現し、不活性化曲線が20-40mV負電位側にシフトすることを報告した(Am.J.Physiol.1998.274:R348-R356,Am.J.Physiol.276: R923-R928),そこでペースメーカー細胞を標的に寒冷馴化にともなう心機能変化のメカニズムを解析し、単離洞房結節ペースメーカー細胞をパッチ膜電位固定して電流を記録し、個体レベルで観察される固有心拍数、心拍神経調節との関連で明らかにした。 マウスを種々の温度環境下で2週間飼育した。コントロール群の動物は同様の期間20-25度Cの環境下で飼育した。マウス心電図記録によりin vivo条件下での心ペースメーカー細胞の機能を解析する手法を開発できた。平成14年度は個体レベルの実験を中心におこない、寒冷による心拍数増大・心拍変動消失とその後約1週間後に徐々に起こる回復の過程をRR間隔の測定および周波数解析で解析した。同時に腹腔内チューブから自律神経遮断薬を投与して交感神経レベル、およぶ固有のRR間隔を測定した。以上の結果、マウスでは数日から一週間の寒冷負荷で固有心拍数が減少すること、その回復には2ヶ月以上の期間を要することを明らかにした。
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